大学院を目指す方へ


室研は複雑凝縮系の化学物理の研究室です。複雑凝縮系と呼ばれるものは色々ありますが,私たちは主に液体(特に過冷却液体)とガラスを研究しています。様々な物質を扱いますが,特に力を入れているのは,分子液体,イオン液体, 水・水溶液などです。また,プロトン伝導体,クラスレート化合物,単分子磁石などの乱れをもつ固体も研究しています。これらの研究の詳細については「Research」の項をご覧になって下さい。

学物理の研究方法は多様ですが,私たちは「中性子散乱」,「X線回折」,「熱容量」,「誘電緩和」,「粘性緩和」の5種類の実験を行います。中性子散乱は物質中のミクロな密度揺らぎをエネルギーと運動量の両方を変数とした空間で測ることが出来ますので,複雑凝縮系の研究には最適です。X線回折からは、結晶や液体の静的構造を調べることができます。熱容量測定からは振動状態密度とエントロピーの絶対値が得られます。誘電緩和と粘性緩和の測定からは中性子で見るよりも遅い時間スケールでの外場に対する揺らぎを測ることができます。以上のような複数の方法を組み合わせることで,複雑な現象の本質(内在する単純な原理)を明らかにしようとするのが山室研のスタイルです。それぞれの方法の詳細については「Instruments」の項をご覧下さい。

際の研究生活ですが,中性子散乱実験は茨城県東海村のJ-PARCをはじめイギリス, アメリカ, ドイツなどの国内外の中性子散乱施設で行います。柏の実験室では,熱容量,X線回折,誘電緩和, 粘性緩和の測定,あるいは試料の準備やデータ解析などを行っています。中性子散乱の実験はいつもできるわけではないので,大学院生の皆さんは、大部分の時間は柏で研究をすることになります。柏では,2週間に1回程度セミナーや勉強会も行っています。研究発表の場は,物理学会(領域3, 8, 10, 12),中性子科学会,熱測定討論会と多彩です。関連の国際会議や国内外の研究会・シンポジウムにもよく参加します。大学院生にはできるだけ多くの発表の機会を与えるようにしています。

究以外に,色々なレクレーション(バーベキュー, ボーリング大会等)を行うことやメンバー間のコミュニケーションをはかることも重要な活動です。学会や海外の実験の後に遊びに行くこともありますし,夏休みにはセミナー合宿なども行っています。研究以外でも楽しくリラックスできる環境であることが良い研究成果をあげるために重要と考えているのです。

室研では,多くの新大学院生の皆様の参加を期待しています。これまでの伝統的な物性物理ではなく,ちょっと変わったことをやりたいと思っている人には,本当に最適の研究室です。海外で実験をしてみたい人や色々な種類の実験をしてみたい人にも向いています。見学は随時受け付けますので,興味のある方は気軽にメールをお送り下さい。

山室 修
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