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    研究会の主旨

       ガラス転移は21世紀に残された物性物理学の最後のフロンティアと言われるほど重要なテーマである。未だその機構は解明されていないが、近年、いくつかの興味深い結果が報告されている。実験研究では、気相から蒸着して得られる超安定分子ガラス、制約空間・薄膜でのガラス転移、中距離秩序構造をもつイオン液体のガラス転移などが注目されている。また、水和蛋白質の動力学転移、スピングラス転移、粉体のジャミング転移、液体-液体転移などの関連した現象も活発に研究されている。理論研究では、エネルギーランドスケープ理論を一般化したランダム一次転移理論、ガラス転移と粉体のジャミング転移の統一的理解に向けた試み、液体の局所安定構造に着目した計算機シミュレーション、動的不均一を様々な形で表現した計算機シミュレーションなどが盛んである。ガラス転移とともにガラス研究の大問題であるボゾンピークについても、近年、音響モードの分散曲線との関連などについて明瞭なデータが得られてきている。さらには、無機ガラスや高分子ガラスをベースにした新規材料開発、生体や食品の冷凍保存技術など、応用を視野に入れた研究も活発に行われている。
       以上の様な状況において、広い意味でガラスおよびガラス転移の基礎を研究している実験、理論、計算機シミュレーションの研究者が一同に会し、現状を確認し合うとともに、将来の研究の方向について議論することは非常に有意義である。物性研究所では、国内最大規模のガラス関係の研究集会として、これまで2002年、2004年、2006年、2010年と同様の研究会を開催してきた。今回、4年半ぶりに行う本研究会では、これまでの参加者以外にも、新しい世代、新しい分野の研究者を加え、より包括的かつ将来に向けた議論を展開したい。


    研究会の概要

    日時:2015年7月30日(木)〜8月1日(土)

    場所:東京大学物性研究所 本館6階大講義室(〒277-8581 千葉県柏市柏の葉5-1-5)

    主催:東京大学物性研究所

    定員:100名

    参加費:無料

    懇親会:7月30日18:45〜20:45
                会費4,000円 (学生2,000円)

    世話人:山室修(東大物性研)、小田垣孝(東電大理工)、田中肇(東大生産研)、宮崎州正(名大院理)、
        深尾浩次(立命大理工)、野嵜龍介(北大院理)、猿山靖夫(京工繊大)、山室憲子(東電大理工)

    交通案内
    空港、各駅から物性研究所へのアクセス

    連絡先:山室修(yamamuro@issp.u-tokyo.ac.jp, 04-7136-3494)

    事務連絡先:羽部なおみ(habu@issp.u-tokyo.ac.jp, 04-7136-3374)

    登録システム管理者:古府麻衣子(kofu@issp.u-tokyo.ac.jp, 04-7136-3424)


    参加申込

    口頭発表は7月2日まで、ポスター発表は7月16日までに参加登録ページ からお申込下さい。発表は1人1件とさせて頂きます。どちらの発表も講演要旨の提出〆切は7月16日です。講演要旨の提出および旅費・宿舎の申込も参加登録ページから可能です。最終的な口頭とポスターの割り振りは、世話人グループで決定させて頂きます。旅費や宿舎は限りがありますので、ご希望の方はできるだけ早めにお申し込み頂くようお願いします。 発表されない方も参加登録をお願いします。

    口頭発表申込および旅費・宿舎申請は締め切りました。(7/3更新)

    ポスター発表申込は締め切りました。(7/18更新)
    Post-deadline poster(アブストラクト無し)を7/26まで受け付けます。
    参加登録ページ からお申込下さい。

    当日参加も受け付けますが、できるだけ7/26までに事前参加登録をお願いします。(7/18更新)


    発表形式

    口頭発表(7/18更新)
    ★ 発表時間は30分(20-25分講演、5-10分質疑応答)です。必ず質問時間を5分間以上残すようにして下さい。
    ★ できれば発表スライドは英語で作成してください。部分的に英語のキーワードを入れて頂くのでも結構です。
    ★ 発表にはご自分のパソコンをお使い下さい。

    ポスター発表(7/18更新)
    ★ ポスターボードのサイズは縦115cm、横85cmです。
    ★ できればポスターは英語で作成してください。部分的に英語のキーワードを入れて頂くのでも結構です。
    ★ 奇数番号はポスター1(7/30)、偶数番号はポスター2(7/31)です。その時間にポスター講演をお願いします。
    ★ 全てのポスターは初日(7/30)の午後のセッションが始まるまでに掲示して下さい。
      (2日目にいらっしゃる方は、可能な限り早めに貼って下さい。)
    ★ 全てのポスターはできるだけ研究会の全期間を通じて掲示しておいて下さい。
    ★ 画鋲はこちらで用意しておきます。


    プログラム

    7月30日(木)

    10:00-10:15所長挨拶(瀧川 仁)・趣旨説明(山室 修)
     

    セッション1:ガラス・液体の構造とエントロピー座長 深尾 浩次

    10:15-10:45山室 修(東大物性研)単純分子ガラスの構造と緩和
    10:45-11:15小原 真司(物材機構)ZrO2融体の構造
    11:15-11:45高田 章(旭硝子)主要な酸化物ガラスの構造シミュレーションとその課題
    11:45-12:15梶原 行夫(広島大)液体のエントロピーを測る
     

    12:15-13:30昼休み
     

    セッション2:液体・ガラスの理論・シミュレーション座長 小田垣 孝

    13:30-14:00田中 肇(東大生研)液体の局所構造化のガラス転移・結晶化における役割
    14:00-14:30金 鋼(新潟大)四面体ネットワーク形成の制御がガラスのフラジリティを系統的に変化させる
    14:30-15:00巾崎 潤子(東工大)イオン液体の分子動力学 ー仮想ネットワークの形成とガラス転移ー
     

    15:00-17:00コーヒーブレイク&ポスター発表1
     

    セッション3:高分子系のガラス転移・ダイナミクス座長 田中 肇

    17:00-17:30猿山 靖夫(京工繊大)温度変調非線形誘電測定法によるα過程緩和時間の温度追随性
    17:30-18:00深尾 浩次(立命大)単層および積層高分子薄膜のガラス転移とダイナミクス
    18:00-18:30小泉 智(茨城大)ガラス転移温度が大きく異なる高分子ブレンドの濃度揺らぎ
     

    18:45-20:45懇親会
     
     

    7月31日(金)

    セッション4:ポリアモルフィズム・液液相転移座長 山室 憲子

    9:00-9:30鈴木 芳治(物材機構)低濃度グリセロール水溶液ガラスのポリアモルフィック転移
    9:30-10:00辰巳 創一(京工繊大)細孔内に封じ込められたシクロヘキサンにおける液体相の発見
    10:00-10:30名越 篤史(阪大)シリカ細孔内のヒドロキシルアミン水溶液の相挙動の温度・圧力依存性
     

    10:30-10:50コーヒーブレイク
     

    セッション5:液体・過冷却液体の理論・シミュレーション座長 池田 昌司

    10:50-11:20小田垣 孝(東電大)過冷却液体の結晶化
    11:20-11:50古川 亮(東大生研)過冷却液体の流体輸送解析
    11:50-12:20礒部 雅晴(名工大)2成分剛体球過圧縮液体に拡張された動的協働促進理論
     

    12:20-13:30昼休み
     

    セッション6:液体・ガラスの誘電分光座長 猿山 靖夫

    13:30-14:00野嵜 龍介(北大)水素結合性液体の誘電ボゾンピーク
    14:00-14:30森 龍也(筑波大)テラヘルツ時間領域分光による非晶質薬剤のボソンピークの検出
    14:30-15:00佐々木 海渡(東海大)水溶液中の水とアモルファス氷の誘電緩和
     

    15:00-17:00コーヒーブレイク&ポスター発表2
     

    セッション7:ガラス転移・シアシックニングの理論座長 宮崎 州正

    17:00-17:30瀬戸 亮平(沖縄科技大)コロイド分散系のシアシックニング
    17:30-18:00川 猛史(名大)サスペンション系におけるシアシックニングのメカニズム:慣性および粒子間摩擦の影響
    18:00-18:30池田 昌司(京大)少し複雑な系のガラス転移:レプリカ理論によるアプローチ
     
     

    8月1日(土)

    セッション8:ガラス転移・ジャミング転移の理論座長 瀬戸 亮平

    9:00-9:30宮崎 州正(名大)ランダムピニング系のガラス転移
    9:30-10:00早川 尚男(京大基研)剪断粉体系でのジャミング転移近傍での粘性率の発散に関するミクロ理論
    10:00-10:30吉野 元(阪大)ガラス・ジャミング系における1+連続レプリカ対称性の破れと力学物性
     

    10:30-10:50コーヒーブレイク
     

    セッション9:固体物理系のガラス転移・相転移座長 早川 尚男

    10:50-11:20福島 孝治(東大)3次元スピングラス模型におけるランダム一次転移
    11:20-11:50賀川 史敬(理研)強相関電子系における電荷の結晶化と急冷によるガラス化
    11:50-12:20簑口 友紀(東大)グラファイト上ヘリウム結晶薄膜のガラス状態と超流動近接効果
     

    12:20-13:30昼休み
     

    セッション10:ソフトマター・生物系のガラス転移・ダイナミクス座長 野嵜 龍介

    13:30-14:00金谷 利治(高エ機構)共鳴X線散乱によるガラス形成高分子の動的転移
    14:00-14:30Lou Yuting(東大)Glass Phenomena in a Multi-cell Receptor-Dynamics Model for Self-Organized Epithelial Homeostasis
    14:30-15:00中川 洋(原子力機構)食品蛋白質の動力学転移と水分活性
    15:00-15:30芝 隼人(東大物性研)構造ガラスにおける動的不均一性の次元依存性
     

    15:30-15:40クロージング
     
     

    ポスターセッション (2015年7月18日現在)

    P1.上田 仁彦(京大)駆動されたブラウン粒子の軌道におけるレプリカ対称性の破れ
    P2.村中 正(愛知工大)ガラス形成物質中の協同運動の伝搬速度
    P3.淡路 大輔(新潟大)短距離古典MDにおける高速化技法の再検討 :近接リスト法・セル法・ハイブリッド法
    P4.樋口 沙希(新潟大)Fermi-Jaglaポテンシャルにおける液液転移とダイナミクスの異常性
    P5.水野 勇希(東大物性研)蒸着法による単純分子ガラスの創成と構造研究
    P6.山口 毅(名大)プレピーク構造を持つ液体のダイナミクスに関する理論的研究
    P7.小林 美加(東大生研)ガラスのエイジングキネティクス
    P8.西山 枝里(千葉工大)アモルファススチレンオリゴマーにおける熱力学的フラジリティーの分子量依存
    P9.横田 麻莉佳(千葉工大)アモルファススチレンオリゴマー熱容量の低温における分子振動解析
    P10.東 信晃(阪大)免疫グロブリンG-水系における水和水の低温熱物性
    P11.杉本 敏樹(京大)Pt(111)表面に作成した強誘電アモルファス氷薄膜の誘電緩和と結晶転移
    P12.藤村 順(千葉工大)断熱型熱量計によるアモルファススチレンオリゴマーのエンタルピー緩和
    P13.松尾 隆祐(阪大)種々のゴムシートに関する力学熱量効果の測定と解析
    P14.吉内 友章(京工繊大)電場周波数依存性によるα過程緩和時間の温度変調に対する追随性の研究
    P15.奥 祐樹(京工繊大)polyacrylonitrileにおけるガラス転移の緩和時間の温度変調に誘起された変化
    P16.谷口 菜摘(立命大)非晶性ポリアミド薄膜の誘電緩和挙動
    P17.山本 詠士(慶応大)脂質膜表面での水分子の異常拡散およびエイジング
    P18.阿部 洋(防衛大)イオン液体の不規則性・不均一性・多形性
    P19.国府田 将太(筑波大)コリン系イオン液体のフラジリティと低温凍結保護の可能性
    P20.橋本 侑亮(筑波大)ガラス形成高分子のテラヘルツ時間領域分光・ラマン散乱分光
    P21.坂口 佳史(CROSS)空間的束縛を受けた液体イオウ高分子の自己秩序化
    P22.水口 朋子(京工繊大)細孔中のシクロヘキサンで観測される相転移現象のシミュレーション研究
    P23.服部 高典(原子力機構)石英ガラスの室温高圧下、高温高圧下における構造変化
    P24.齋藤 真器名(京大炉)o-terphenyl、glycerolのミクロな緩和時間の空間スケール・温度依存性
    P25.瀬戸 亮平(沖縄科技大)磁性コロイド単一層の結晶粒界
    P26.池田 晴國(名大)二成分系のガラス転移における転移点の分離
    P27.宮崎 涼二(名大)一般化Hertzian型相互作用系のガラス転移
    P28.燗c 智史(京大基研)2次元粉体の抵抗則
    P29.高江 恭平(東大生研)配向自由度のある粒子系におけるガラス形成とその外場応答
    P30.新屋敷 直木(東海大)部分的に氷結したゼラチン水溶液のα緩和と不凍水量に関する誘電的研究
    P31.秋葉 宙(東大物性研)パラジウム水素化物の熱容量とガラス転移 -水素拡散運動の凍結-
    P32.大友 季哉(KEK)高強度中性子全散乱装置(NOVA)による非晶質・液体構造解析
    P33.古府 麻衣子(東大物性研)イオン液体の階層的・ガラスダイナミクス
    P34.原田 国明(京大)アモルファス氷薄膜の結晶化に対するPt(111)基板の影響
    P35.Anna V. Gubarevich(東工大)Effect of NaCl concentration on the structure of water studied by molecular dynamics simulation
    P36.田邊 章洋(広大)DEMを用いた3次元粉体層内部の応力伝播過程の研究
    P37.客野 遥(神奈川大)カーボンナノチューブに内包された水の挙動
    P38.高塚 将伸(東海大)誘電分光法によるPoly(vinyl methyl ether)水溶液の水と溶質のガラス転移
    P39.萬代 健太(東海大)広帯域誘電分光法による1-プロパノール-水系のガラス転移
    P40.柴田 薫(原子力機構)背面反射型TOF分光器(DNA)High-Q Si311アナライザーによる1/1近似結晶Zn6Sc中の正四面体Zn4クラスターの動的転移
    P41.野村 肇宏(東大物性研)液体酸素の磁場誘起液-液相転移の可能性
     
     

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